飯豊連峰 門内小屋管理人見習い日記

平成18728日〜731

飯豊連峰の門内岳直下の稜線に建つ門内岳避難小屋の管理人を下越山岳会の石井さんが受けた。
管理期間は
714日〜821日迄であるが、石井さんも行きっぱなしという訳にはいかないので、有志で石井さんのサポートについて都合のつく期間に管理人の補員として小屋番をする事になった。
私は
28日〜31日、815日〜17日の2回となった。

GPS LOG 29日夕方二ツ峰 30日の日の出 30日朝の二ツ峰
30日お昼の門内小屋 笠原さん、いっちゃん達 笠原隊長、隊員2名下山 30日夕方二ツ峰
ブロッケンのオバケ 夕刻の胎内峡谷源頭 桃パパさんがひょっこり 門内小屋を後にする
梅花皮小屋 滝見場より 石転ビ沢 もう少しで飯豊山荘


その
1回目として728日〜31日まで門内小屋に入った。私が独りでは大変だろうとVXTが同行してくれた。不慣れな作業だろうし、梅雨明け直後の土日小屋も込み合うだろうと心配だったので本当に助かりました。・・・
実際には梅雨は明けずに嵐で大混雑でしたが・・・

主たる管理人の石井さんは、長期続く悪天候で気持ちも何だか寂しいものがある。
と話していた。長期間の滞在となると天気の良し悪しが精神的にも大きく影響があると感じた。


7
28日(金)

午前330分起床。ザックを担いでみるがどうも荷が重い。持上り品を減らす訳にいかないので、私物を精査して不要物になりそうなものを外し、再パッキング。
重量は多少減ったが相変わらず嵩張る。本来、
VXT2人で上がるので荷物は少なめで楽勝な筈だったのだが、相当期間滞在するので乾燥食品等を小動物からの食害から守るために一斗缶を2缶上げるために荷物のボリュームが増えてしまったのだ。

午前440VXTが迎えに来てくれた。昨夜の天気予報では、昼位から雨だったので早めにいい所まで上がりたいと思っていたが朝から雨だ。関川村のコンビニに寄り行動食を購入し天狗平へ向かう。雨はしっかり降っている。
午前610分天狗平着。簡単にザックの中を整理して本降りに備え渋々合羽を着る。
VXT
は傘を差して歩くようだ。暑いのは嫌だからね。と食えない人だ・・・・GPSの電源を入れるが衛星を一つも補足できない。こんな事は初めてである。ありゃ?壊れたかな?と思ったが、そのうち衛星信号は採れるだろうとザックに入れた。

午前
630分天狗平の駐車場を後にする。バスが停まっていたので団体客が入っているなと想像する。出だしからの雨はこれからの急登と重荷を考えると憂鬱だ。団体に追いつきパスさせていただく。
20人位だろうか大人数である。その先に4名のパーティーがいるようだ。合羽の中を汗が流れる。暑くてかなわないので湯沢峰の少し下で合羽のズボンを脱いで食事を採る。その間に大パーティーが抜いていく。
やがて本降りとなり渋々合羽ズボンを履きお握りを押し込む。湯沢峰の先登り返すところで大パーティーを抜いて先に進む。先行の
4名パーティーと着かず離れず進む。五郎清水までの間で途中少し悪いところがあった。

10
00分に大雨の五郎清水に着く。先ずは冷たい清水で喉を潤しお握りを食べながら梶川峰方向を見上げる。何だか風が強そうだ。ユックリ歩き出す。少し上に上がると本来、左に上がるべきところが雪渓に向かい直進したくなる踏跡がある。樹の枝で×印に立てて注意を喚起する。(下山時にはトラロープが張られていた。)
登山道に砂礫が混じると梶川峰が近い。登山道の洗堀が著しいため、この激しい雨では登山道は滝の様だ。
VXTと沢シューズかワラジでもよかったねえ。等と冗談もヤケッパチ気味だ。

11
07分梶川峰着。GPSの電源を入れるが、やはり衛星信号が補足出来ない。悪天候のせいか?風が強くなり少し肌寒い。お握りを食べながら扇の地紙方向を見るが視界は50m位。ここまで来れば、急登とはお別れだ。それしても酷い雨だ。こんな悪い日は滅多にない。梶川峰の上を南側に軽くヘツる様になると扇の地紙は近い。
3人パーティーが降りてきた。中条山の会の亀山さんだ。下越の方ですか?と聞かれ、ハイそうです。と答えて少し話す。門内の石井さんが首を長くして待っていますよ。との事。もう、昼近くだ。荷物が軽いので11時には着けると踏んでいたが、持上りの一斗缶2缶で予定が狂った。VXTが、先に行き引き継ぎをした方が良い云う。
引継ぎが遅れるとどうしても石井さんの下山時間がこの悪天候の中遅れるのも危険なので扇の地紙の少し下でこれまで先を歩いてきた
VXTの先に出て先行する事にする。
12
00分扇の地紙は風が強く雨も横殴り。バラバラと合羽のフードに打ちつける大粒の雨音が不快だ。吹き付ける強風に時折よろけながら、小走りに門内小屋へ向かう。

12:12門内小屋到着。石井さんが迎えてくれた。乾いている場所が一ヶ所も無い着衣を全て着替える。早速、引き継ぎ事項の説明を受ける。VXTが到着する。屋外、WCの説明を受ける。管理棟に入り事務的な引継ぎ事項の説明を受ける。管理棟にはストーブがあり、ストーブと一杯の熱燗で暖を摂り、石井さんと少し山のこと、娑婆のことの情報交換をした。話は尽きないが石井さんは大雨の中下山していった。

持上り品の荷を解いて片付けをしていると、
4名パーティーが2組、23人パーティーが1組、梅花皮へ行くと出た5人パーティーも戻ってきた。梅花皮小屋のOTJさんに無線連絡。到着の挨拶と23名パーティーは梅花皮予定の連絡を入れておいたが、門内小屋で泊る旨伝える。OTJさんも時間も時間だしこの天気だから門内と思っていた。との事。

やれやれ、と思っていた
1640分、泊めてくれ。と登山者が来た。避難小屋だから絶対に何とかしなくてはいけない。VXTが小屋の整理に向かう。清掃協力費等の整理、ビールの販売などの用務を行い避難小屋に向かうとズブ濡れの登山者がギュウギュウ詰めで北西からの暴風雨で小屋に雨が吹き込んでいた。
VXT
が工具箱とブルーシートを持って走る。VXTと、とりあえずの応急処置を行いどうにか落ち着いた。管理棟に吹き込む雨をどうしようか?洗い物は今晩はとても出来ないな。と熱燗を飲みながらVXTと相談していると小屋から2名程どうにも寝場所を確保できないと相談に来た。
2
名を管理棟で寝てもらう。北西から吹く風は時折勢いを強め自然の息吹を感じる。冬の風の様な力強さを感じる。時折揺れる小屋でシェラフに潜り込んだ。


729日(土)

440分起床。天気は相変わらずだ。ストーブに火を点けて暖を摂る。今日、風は収まるのだろうか?さて、この天気で停滞パーティーがでて土曜日で再び大人数のパーティーが来たら困るな。と考える。
600分新発田のサポートメンバーと定時交信。新発田の雨はどうと云う雨ではない。との事。

90013名の最後に着いたパーティーが出て行く。これまでに、それぞれ出て行ったのでこれで23人のパーティーだけが残った。体調が優れない参加者が居られて本日停滞を決めた。との事。リーダーから宿泊連絡を入れておいた本山小屋に事情を話して欲しいと依頼される。

9
30分を過ぎると風が収まる。体調が優れている方々は停滞では退屈と北股岳まで軽装でピストンにでた。幸い日が射して竜胆などの花が楽しめたと言っておられた。午後から扇の地紙方面へ道刈に行く。道具は大鎌。切れが悪くやはり刈払機に限る。ロクに刈払い作業も進まない。汗だけが無駄に落ちる。今晩の混雑を心配していたが裏腹に登山者は少なく結局この日は停滞したパーティーのみであった。
夕方になり晴れ間が出てきた。リーダーに川入にピックアップする為に入るバスを天狗平に回すためにここでの携帯電話の使い方説明する運がよければ電話が通じる。ダメなら我々のサポートメンバーに依頼することにする。幸い電話は通じた。

陽が西に傾くと石転ビ沢、クサイグラ方向にブロッケンのオバケが楽しませてくれた。陽が落ちると新発田、中条、坂町そして、日本海の漁火が美しい。すっかり静かになった管理棟の夜はヤツらが大運動会を開催して私のアタマの直ぐ上の壁側の隅を走る。脇に詰まれたダンボール箱の上を行き来して煩かった。


7
30日(日)

朝方迄続いていた大運動会だが階下の仕掛けに1匹かかったようだ。まだ暗い4時前に23人のパーティーは出発した。体調不良の方が居るとの事だったので、昨夜のうちに何かあった時はコールして相談してみて下さいと、HZUさんとOTJさんのコールサインのメモをリーダーに渡しておいた。時間をかけてユックリ下ると話していた。

無人になった湿っぽい小屋を乾かしたく
VXTと早朝から小屋の窓を開けて風を通す。朝食後小屋、WCの掃除を行う。小屋今日はLTKが登ってくる。1030LTKから無線が入りLOMが石転ビ経由で登ってくるとの事。LTKは扇の地紙の少し下、LOMも無線に加わり梅花皮小屋に着いたとの事。

管理棟の毛布、ずぶ濡れの登山靴を干すが、ガスが上がってきた。毛布を片付ける。
LTKが到着する。LTKが言うには、いっちゃんが後ろから来る。との事。暫くするといっちゃんと友人が着いた。笠原さんが石転ビを登っているとの事。いっちゃん達は荷物をデポして軽装で北股をピストンしに出た。石転ビからLOMさんが到着、城北町のSYZさんも梶川尾根から到着。WCの工事に携わった胎内市の業者さん、小国山岳会の舟山さんも来られた。

11
時頃から多くの日帰り登山者で賑やかだった。13時頃LOM等一行が下山したのと入れ違いに、いっちゃん達が笠原さんと降りてきた。聞いたら、いっちゃんの友人のひさえちゃんは飯豊に初めた来たとの事。いっちゃんにケロリと騙されて来たのだろうか。飯豊初登山で梶川、丸森の周回ルートに北股までのピストン付。大変だったと思う。知っていたら来ないかも???

笠原さん、いっちゃん、ひさえちゃんの
3人は食事もそこそこに1330分丸森経由で下山。昼間販売した飲料等の帳面をしているとHZUさんからコール。本山小屋に2時間居てこれから下山との事。
夕方、本山小屋の
IWUさんからコール。旧知のVXTが応答。そんな事をしているうちに、24名の宿泊の方が到着。16時を過ぎてから幕営の登山者、17時を過ぎて単独者が到着。

夕方のニュースで新潟の梅雨明けを知る。今日もブロッケンが出た。夕方少しガスっていたが、日没後は下越地方の夜景、日本海の夜景、満天の星に天の川が美しい。何だか心がキレイになる様な気がする。
頭にこびり付いたサビが剥がれるようだ。明日は交代の
PJYが石転ビ経由で上がってくる。2040分就寝。


7
31日(月)

430分起床。早いもので、今日は下りる日だ。私にとって非日常的な生活もあっという間おしまいだ。
545PJYから無線が入る。石転ビの出合でチャージ(メシ)しているとの事。早いなあ〜。
6
00LTKと定時交信。610分昨夜の宿泊の方々は全て出発。天気が良いので食事前にVXTと小屋・WCの清掃をする。WCの倉庫の床に吹き込んだ雨水をVXTが大車輪で掻き出す。小屋の毛布を石室の上に広げて乾かす。
朝食を食べはじめた
8時頃、旧黒川村の今井氏通過。昨日本山小屋でHZUさんと色々話して来たようだ。

9時を過ぎた頃、70歳を越えたとお見受けする方が80L位の大型ザックを背負って小屋に着いた。何所からですか?とお聞きすると、梶川尾根からという。????一体何時に登り始めたのかお聞きすると、午前1時との事。眠くなったらその辺で寝るつもりだったとの事。決して、万人向けで勧められる方法ではないが重荷と暑さから体力のロスを避けるための工夫である。(ボクなら3時かな?今の時期なら湯沢峰までに明るくなだろう。)この方は県央(新潟県三条・燕を中心としたエリア)の方でどこまでの縦走かお聞きしたら、5日前後稜線で遊んでいく。とのこと。

10
00分、誰かが降りてきたと思ったら、桃パパさんがひょっこり現れた。昨日、桧山沢をパンツを脱いで渡渉しダイグラを登り、本山から来たそうだ。桧山沢を渡れば降雨による引き返しは不可という不退転のルートとなる。綿密な読みがあったのだろう。しかし、本日は夕方に会議がありどうしても17時を目処に新潟に戻らなければならないとの事で残念ながら先を急ぐ様だ。発泡酒を1本飲み急いで胎内山へ登り返していった。PJYが着くまでに胎内市に届ける書類等を整理してパッキングを済ませた。

11
時頃ガスが上がってきた。PJYが見えた。間もなく到着だ。到着後VXTがモツを調理してモツをツマミに石転ビの状況等よもやま話に花を咲かせる。VXTが早々に食事を行いパッキングする。PJYに書類その他の引継ぎを行い、下山の準備をして後をPJYに託して1330分に門内小屋を後にする。

VXT
と娑婆に戻りたくないね。等と話しながら1345分扇の地紙を通過する。1430分〜35分、梶川峰。洗堀が著しい。今年の大雨も影響が大きいだろうと想像する。アキアカネが沢山飛んでいて夏本番を感じさせる。
下りながら、登りで見ることができなかった花を眺めるが、イイデリンドウは見つからなかった。残念。
1500分〜12分五郎清水冷たくて美味しい。斜面のあちこちから水が出ている大雨の影響で山全体が相当な水分を含んでいるのではないだろうか。1533分〜38分滝見場で石転ビを眺めるがガスであまり良く見えない。

1603分〜10分湯沢峰。湯沢峰の少し下で大きく、とても美しい赤マムシを見つけた。登山道に尾の側を15cm程出していたので尻尾を引っ張り薮から出そうと思ったが反転して噛まれてもつまらないので、持っていたストックで頭の側の薮を叩いて逃げる方向をコントロールしようと企んだがマムの方で私を相手にせず急な薮に消えていった。
もう少し下に下るとヒメネズミが登山道脇に死んでいた。まだ死んで間もないようだ。ネズミの死体とマムの間に何か因果関係があったのか無関係なのやら?
最後の下りに気をつけて降りて
17:07梶川尾根取付きに到着。飯豊山荘で汗を流し新発田に向かった。

とにかく今回は
VXTに感謝です。悪天候の中の到着直後の混雑、初めての小屋管理に炊事、掃除等独りではとても対応が難しかったと思います。また、遊びに来て頂いた方々から励ましを頂いたり無線でアドバイスを頂いたりまた、春の訓練の参加メンバー同士で下山した方がいたりと山の仲間の広がりを感じました。

みなさん、本当にありがとうございました。



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